小学校で不登校になった場合は保護者はどのような対応をすればいいのでしょうか?
基本的には寄り添う、意見を聞く姿勢がマストです。その他に気をつけるべきポイントと、実際に段階的にどのような行動を取ったらいいか紹介していきます。
小学生で不登校になった:観察の記録をデジタルで残す
まずお子さんが不登校になった経緯をデジタルデータで残しておくと良いです。
なぜデジタルデータが良いかというと、これから不登校に対応すべく色々な機関に相談させてもらうことがあるからです。
- 学校担任の先生
- スクールカウンセラー
- 民間のフリースクール
- 公的機関の適応教室
- その他相談期間
時には学習障害が懸念される場合は言語聴覚士などとのコミュニケーションの場面が増えてくると思います。ディスレクシアなどの場合は専門の機関や国家資格を持つ方に相談する流れとなるでしょう。
なぜデジタルデータで前もってもっておいた方が良いかというと紙媒体は自分でどこにしまったか?問題が出てきてしまったり、複数の機関に相談する場合に連絡が面倒になったりするからです。
特に民間組織への相談などはまずメールでの問い合わせがメインだと思います。お互いに時間は有限ですので。そこで「現段階でお子さんがどのような状態ですか?」と聞かれることも多いです。
この内容について、不登校になってから時間が経つと状態も変化しますし、こちらの見方も変わってくると思います。
一番危険なのは症状を聞かれているけれど、自分の感情をのせて内容を伝えることです。
教育現場でもこれは危惧している事柄なので、ご自身の観察の整理をしておく意味も込めてデジタルデータでの記録が望ましいかと思います。
PCで文章にしても、スマホで共有しておけば、聞かれた時に「ええと、どうだったかな?」となりにくいし、当日の状態をそのまま伝えることができます。
デジタルデータでの観察の記録の注意点
感情はなるべく込めないようにする
不登校とはいえ初期状態では原因が特定しにくいことも多いです。大きく分けると以下のようにカテゴライズできます。
- 学校の人とのトラブル(いじめなど)
- 友達とのいざこざ
- 先生との折り合い
- 感覚過敏など特性
- ADHD、自閉症など発達障害
- 学習障害
- 体調不良 不眠症、統合失調症、自律障害、PTSD
人間関係のトラブルでも対等な立場でのいざこざであるか、あるいは集団の中で自身がターゲットにされたイジメのようなケースか、または学校関係者とのトラブルか・・・などがあります。
加えてその子自身の持つ特性や発達障害、学習障害などが挙げられます。
そして上記の内容とストレスにより二次障害として不眠症や統合失調症が出ることがあります。
私が家庭教師で受け持った生徒さんで、いじめを受けて不登校となってしまい、そこからストレスで二次障害として幻覚が聞こえるようになってしまいました。このような場合統合失調症あるいはPTSDの診断が出る可能性が高いです。
この場合はかかりつけ医、いなければ学校に相談して療育ケアをサポートできる医療機関へと繋いでもらうようにしましょう。最適な治療、環境について相談のもと少しずつ進めるようにしてください。
観察の視点は環境を変えた場合のものも記録しておく
観察の視点については場面ごとの様子も書いておくと良いです。
- 子供の特性を客観的にみた意見(身内、学校関係者、医療機関)
- 学校での様子
- 家での様子
- 人間関係
この辺りを先程の記録に残すの部分でも記載しておくと良いです。
小学生で不登校になった:対応でやっていはいけないこと4つ
続いてやってはいけないことについてです。
基本的には、
- どうして?と聞きすぎること
- 苛立ちをよく見せてしまうこと
- 環境をコロコロと変えること
- こうでないといけないと思い込むこと
不登校になった原因について知りたいですよね。でも本人に何度も「どうして?」と聞きすぎるのは要注意です。本人も自分で言語化できない場合は辛い状況にあります。
特に最近では発達障害のグレーゾーンという言葉があるように、ライトグレーなのか、ダークグレーなのか?ということも多いです。
そしてそうした結果を保護者が受け入れたくないがあまり「うちの子は絶対に違う!」と言い張る場合もあります。確かに診断で全てが好転するというわけではありません。なので診断は各ご家庭の自己判断というところに委ねられます。
一般的に社会的地位の高い職に就かれている親御さんの場合、あるいは教育熱心なご家庭の場合に受け入れられない方が多い印象はあります。けれどもあくまで私の経験です。広い視野で偏見意識を持たない方もたくさんいます。
そして診断結果を本人が知りたいか知りたくないかという問題もあります。受けてみるというのも自己判断で、知る権利も自己判断です。
大人の発達障害の場合、たまにツイートでお見かけするのは
という言葉です。
ですが逆に知りたくない意見としては

「それを知ってしまうことで自分の選択や可能性に蓋をしてしまう気がして嫌だから」
ということもあります。
なので、個人の意見を尊重するスタンスは変わらず取った方が良いです。
また心理的に不安定な状態だと相手の負の感情を持ちやすく、あまり良い影響は与えません。なので、自分のイライラを家庭内で見せてしまっていると感じたら、たとえば「イライラする!」と言う時は物理的に距離を取るなどしてみてください。
そして今回の不登校の子どもへの対処は本当に結果がすぐに見えにくいものです。
親御さんの意向で環境をコロコロと変えすぎてしまわないようにしましょう。ただ、人間関係がそこでもよくない・・・という場合は検討事項です。本人が安心していられる環境であるかが重要です。
家での対応:折れてしまった自己肯定感を立て直すために
キーワードは自己肯定感
上記のような適応教室やフリースクールもありますが、人間関係などで一度折れてしまった自己肯定感はなるべく早めに立て直す機会を設けた方が良いです。
社会に出て自分らしく生きていけるだろうか?という不安が保護者にはあると思います。
自己肯定感は人間の土台にあるので、自己肯定感→非認知能力→認知能力(学業的なもの)→社会適応 という段階で大人になると考えます。
そのため不登校となり、家にいる時には自己肯定感を育みながら人間的な活動を継続できるよう家の中での過ごし方ルールは決めておくと良いと思います。
- 不登校1週間:様子見期間、状態把握
- 不登校2週間目以降:家にいるときのルールを決める(1日で何をするか?)
- 不登校1ヶ月後:そろそろ社会との繋がりを持った方がいいか?環境を変えることも提案してみる
それ以降はトライアンドエラーです。
最終的なゴールとしては「自律」であると考えています。そのためには小学生の段階では、達成感を得られる経験の蓄積が重要であると考えます。これが自己肯定感を貯めることにつながります。
そのために家にいるときのルールは例えば、
- 勉強は問題集を○ページ進める
- 教科書を読んでわからないところは付箋を貼って後で聞く
- 家の家事のお手伝い
- 晩御飯を作ってもらう
などがあります。
家庭学習の方法について
学習ツールはオンラインのご時世ですが、なるべく書く習慣も並行して行うと良いと思います。文字を書く習慣はなくなりつつあるものの、重要な部分では残る傾向にもあります。


ものを握る強さなど身体活動の蓄積は低学年のうちにやっておくと脳にも良い影響があるので、なるべく触感を伴う学びを取り入れると良いです。 下記はものづくりのキットが届きます。作る楽しみから達成感を得られそうです。
話題のSTEAM・プログラミング教育教材なら【ワンダーボックス】
また、わからないところが勉学で出た場合はオンライン家庭教師も選択できます。
フリースクールに通うか決めかねている段階であれば初期登録料などがかからないオンライン家庭教師をやってみることもお勧めします。

ある程度家庭での学習習慣が図れた場合、あるいはインプットをしてからのアウトプット(問題集を解く)スタンスの方が子供に合っていると思う場合にはこちらのすららもおすすめです。
家庭環境以外との社会との関わりの場はフリースクールがある
そして、家の中で自律的活動(家事)と勉強がスムーズにでき、コミュニケーションも親子で取れている状態であるとき、自己肯定感はおおよそあると認識します。
その後の活動については社会との繋がりをどこで取るかです。
フリースクールというところがあるけど行ってみる?など聞いてみて、本人の意思を尊重しながら体験に行くと良いでしょう。
初めに何箇所見にくか、というのも子供に伝えておきましょう。そして選択肢についてもなるべく家計的に捻出できる範囲で・・・。
というのも子供の意思を尊重しすぎて、1年通った頃に授業料が払えないからやめるとなると、辛くなってしまいます。
見通しも大事ですね。
コロナの影響もあり、不登校の子の数も徐々に増えてきている状態です。
あまり「こうでないといけない!」思考が通用しないご時世なので、柔軟に対処していきましょう。
わかった人
「もっと早く自分のことについて知りたかった」、「自分を知ることができて肩の荷が降りた」