非認知能力の獲得について

非認知能力の獲得
ヌンタコ

前回のお話の続きです。非認知能力はなぜ獲得が難しいと考えるのか?

これについて紹介していきます。

なぜ獲得が難しいと感じるのか?

難しいと思う理由は3つあります。

  • おおよそ10歳ごろからピークになり、20代に入る前に終了と言われる
  • 教育の過渡期であり、これを供給する民間システムがまだ不十分
  • 保護者の理解度による格差

このような理由から獲得が難しいと考えられています。それぞれ解説していきます。

その前に非認知能力とは何か?

非認知能力は以前の記事でもお伝えしたのですが数値化することのできない能力のことを指します。

詳細についてはこちらのリンクがわかりやすいかなと。大きく分けて12項目が紹介されていますが、さまざまなものがあります。

外交的な子供や内向的な子供もいますので、適材適所でそれぞれの良さを引き出すのが良いかと思いますが、これを深く理解している方やそこからカリキュラムを組める団体や人物はあまり多くないのも現状です。

20代は難しい?発達段階による差

非認知能力の獲得には20代前まで右肩上がりに成長していきます。おおよそ自我を持ち始める10歳で、非認知能力の成長は高まります。

またこれは発達過程において心の柔軟性も考慮されてのことと思います。

コミュニケーション力や創造力、課題解決力など、教科学習以外の経験が重視されたがために以前はゆとり教育が進みましたが、昨今では社会情勢の変化や情報化社会など急速な変化から教科学習でもアクティブラーニングを導入している様子も見受けられます。けれどもこれだけでは非認知能力の獲得が乏しい場合があります。

話を戻しますが、心の柔軟性が20代を過ぎると徐々に失われていきます。おおよそこのような見立てです。

仮に高校卒業して数年働き出した場合を考えると21歳程度でアイデンティティを完全に獲得している可能性もあるのでより早く柔軟性が乏しくなることも考えられますし、また大卒で就職した場合は25歳程度を想定します。

自身の持つ価値観や考え方のベースがこの年齢あたりで決まります。それはその人のこれまでの経験をベースに形づけられるものです。

なので自分自身のメタ認知が上がったところで気がついても自分でコントロールして身につけるのは難しいことなのです。なるべく10代、早いうちに親御さんや大人の介入や積極的な提案提供が必要になると言えます。

非認知能力の提供の場が乏しい

先程のアクティブラーニングを学校で導入することはできるのですが、非認知能力そのものは数値化できず、目に見える評価を出しにくいものです。なので、頻繁にアクティブラーニングを行うとペーパーテストでの評価がしにくくなります。

ではテストをやめれば良いのではないか?という意見も出てきそうですが、日本の場合は教育の均質化、つまり地域や経済格差からくる教育格差を無くそうという取り組みからそれがどの程度達成されているか、課題は何かと追求する必要があるのです。

よってペーパーテストなど学力水準を示すものを学校や学級単位でつけておかなければならないという点もあるのです。フリースクールなどはこれに準しない部分も出てきます。

特に公立の学校ではこれが困難になりますし、教師の労働量過多が示唆されていますので、あれもこれもは大変です。

また、NPO団体など民間で率先して行うところもありますが、全体に浸透しているほどとは言いにくいように感じます。教育の感度は都心ほど高いと思われるので地方はこうした教育の機会も乏しいと言えるかもしれません。

そして経済格差の観点も含めますと、この非認知能力のような目に見えない・点数として現れないものに対してどれだけ教育費をかけるか、お財布事情と相談というのも現実問題としてあります。

アメリカでは公費で運営するチャータースクール(公費だが経営方針や中身は私立学校のようなもの)が非認知能力のプログラムを用意して運営することも多いのですが、実際のところ多くできては多くが消えるという現状です。

理由としてはやはり数値化できない点で、

  • 国からの援助が得にくい
  • 対外評価を下しにくい
  • 結局いいのか悪いのかわからない

という印象を受けるからです。

悩ましい問題です。

保護者の理解度による格差

そして最後がタイトルの通り、保護者の理解度です。

ただ、これには経済格差と意識格差、教育格差が密接につながっています。

ちょっと暗い内容なのであまり深く踏み込みませんが、実際に数値化できないものに対して保護者がどれほどの価値を見出すかはグレーゾーンでマーケティングもしにくいように思います。

そうなるとどうしても都心の方にサービス提供の範囲が進みがちです。

また、自身の経験したことでなければ自信を持って子供に伝えられない・リスクヘッジ、の観点から勉学に関係のないことを勧めることに抵抗があるのも要因としてあります。

ですので非認知能力獲得の場の提供は、子供を取り巻く環境要因に左右されるようなイメージです。

非認知能力を獲得するためにはどうすればよいか?

ではこのような状況下でどのようにすればいいか?考えるとすればそもそも子育ては村で行うのが理想の形とされています。つまり学校・家庭・地域の三位一体体制です。

一つ言えることは地域や家庭でもいろいろな経験をさせること。習い事でもいいですし、創作活動や環境について知る活動に参加する、でんじろう先生のセミナーのような実験の活動に参加する。あとはさまざまな年齢の人が参加する地域活動に積極的に参加する。

もしくは親と対話する機会を積極的に設ける。経営や経済について話すのも良いですし、将来について深く一緒に考える。

正直なところなんでも良いのです。選択肢は多いのですから。

ただ、共通点としてと関わる活動であることを意識して経験させることがおすすめです。そして勝ち負けや損得に縛られない意識で参加することが望ましいでしょう。自己肯定感の上で非認知能力はあると考えているためです。

次回は非認知能力の獲得が乏しいとどうなるか?について紹介します!